
アニメ映画『君と花火と約束と』を公開初日となる2026年7月17日に、さっそく映画館へ足を運んできました。
ラノベに多く見受けられる戦時中と現代とのタイムリープ作品ということもあり、ストーリーというよりもヒロインキャラクターの可愛さと声優の高橋李依さんが出演しているという点で見に行きました。
ネタバレが一部含まれるので、映画を鑑賞される前の方で、ネタバレは見たくないという方は閲覧注意となります。
作品の概要

原作は、真戸香さんによる同名の小説(小学館「ガガガ文庫」刊)。この原作をアニメ映画化したのが本作ですが、原作執筆段階から映画制作と同時進行されているので、オリジナルアニメ映画といっても良いのかもしれません。原作小説は映画には登場していないより詳細な描写や物語もあるようなので、本作を気になった方は、小説や連載中の漫画も一緒に読むと、より一層世界観に浸れるのではないでしょうか。
企画制作はシンエイ動画が手がけ、アニメーション制作はSynergySPとアンサー・スタジオが共同で担当しています。配給は松竹とシンエイ動画。監督は、テレビアニメ『神之塔 -Tower of God-』を手がけた鈴木慧さんということです。
物語の舞台となるのは、新潟県の「長岡まつり大花火大会」という日本三大花火大会のひとつに数えられる、数十万人が訪れるという全国的にも有名な花火大会だそうです。
この長岡花火には、太平洋戦争末期の長岡空襲で亡くなった人々への慰霊と、焼け野原からの復興への願いが込められているというところが、本作の軸となっています。史実に根ざした「祈りの花火」を土台に据えながら、高校生たちのひと夏の物語を描いた作品。
主題歌は、timeleszの新曲「消えない花火」。
花火という作品のモチーフと重なるタイトルで、エンドロールでの余韻を一段と深めてくれました。
あらすじ

高校の入学式直後、夏目誠(なつめ まこと)は、同級生の葉山煌(はやま あき)から突然こう声をかけられます。「ずっと会いたかった…!」。誠にはまったく身に覚えがありません。
煌は幼い頃から、曽祖母にこう聞かされて育ってきました。「いつか必ず夏目誠と出会う。そしてお前のために絵を描いてくれるよ」と。そして煌の手には、打ち上げ花火が描かれた一枚の絵がありました。
まっすぐに自分を信じてくれる煌に惹かれ始めた誠は、中学時代に一度やめてしまった絵を、もう一度描き始めます。ところが、思うように筆が進みません。煌が信じる“夏目誠”という理想像と、絵に悩む等身大の自分。そのふたつがどうしても重ならず、誠と煌の間には、少しずつ距離が生まれていきます。
そんな夏休みのある日、誠は煌から突然の連絡を受けます。煌が引っ越すというのです。二人を結びつけた“花火の絵”の謎を確かめるため、誠は煌がかつて暮らしていた長岡へと向かいます。
待ち合わせ場所に現れたのは――しかし煌ではありませんでした。言葉遣いも服装も、どこか現代離れした少女・ハル。どうやら彼女は、過去から迷い込んできたようなのです。戸惑いながらも、誠はハルとともに煌を探して街を歩き回ります。その日は8月1日。長岡花火で、白菊(しらぎく)と呼ばれる特別な花火が打ち上がる日でした。
花火の絵の秘密に近づくにつれ、誠は、煌がなぜ姿を消したのかに気づき始めます。突然消えた君と、過去から現れた君。そして一枚の絵に込められた、かつて交わされた“ある約束”。過去と今、そして未来が少しずつ重なり合うなか、限られた時間の中で、それぞれが選択を迫られていきます。
81年の時を越えて交わされた約束とは、いったい何だったのか。物語の核心は、ぜひ劇場で確かめてみてください。
登場人物紹介
夏目 誠(なつめ まこと)/声:佐藤勝利(timelesz)
15歳の高校生。これといって「やりたいこと」もない、どこにでもいる普通の少年です。高校の入学式で煌と知り合い、彼女との出会いをきっかけに、一度は手放した絵と再び向き合うことになります。演じるのは、timeleszのメンバーとして活躍する佐藤勝利さん。本作がアニメーション映画初主演です。

葉山 煌(はやま あき)/声:原菜乃華
誠の同級生の女子高生。しっかり者で明るく、友だちも多くて周りから慕われる存在ですが、その一方でどこか影を感じさせる一面も持っています。演じるのは、『すずめの戸締まり』で主人公・岩戸鈴芽の声を務めたことでも知られる原菜乃華さん。

ハル/声:高橋李依
誠の目の前に突然現れた、謎の少女。話しているうちに、どうやら過去から迷い込んできたらしいことがわかってきます。物語の鍵を握る、不思議な存在です。演じるのは、『【推しの子】』のアイ役や『Re:ゼロから始める異世界生活』のエミリア役などで知られる高橋李依さん。作品にちなんだ長岡弁の演技にも挑戦しています。

観てきた率直な感想

長岡花火に込められた「祈り」を軸にしながら、青春の甘酸っぱさとせつなさをていねいに描いた作品。
見どころとされている花火の作画は、大きなスクリーンと音響で観る価値があると感じました。
物語はラノベによくある戦時中と現代の異性の学生が混じり合う内容。空襲で死にかけた瞬間に現代にタイムリープしてきたフユ。性格も良いですが、モンペから白いワンピースに着替えた姿はお嬢様といっても過言ではない美しさ。一つ一つの言動や仕草がとても愛しくなる。ファンタジー作品なので、すぐに現代に順応したり、土地勘があるように元の場所へ一人で帰ってこれたりと、ツッコミどころは多いですが、そこはピュアな気持ちで見ていればそれほど違和感はなく感じます。
過去と現在が交錯していく構成なので、序盤の伏線を意識しながら観ると、終盤の展開がより深く刺さるような物語になっています。
フユのキャラクターが立ちすぎていて、現代のヒロインである煌の存在感が薄れてしまっている感は否めないし、もう少し主人公とのラブを見せてくれたらより感情移入ができた気もします。
終わりは概ね予想通りの展開で、あっさりとした終わり方。
現代と戦時中のタイムリープラブストーリーの直近の代表作として『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を個人的に比較してしまうのですが、あの花は実写向け、本作はアニメ向けで、それぞれのメディアに合っていて甲乙つけがたいくらいの評価だと思っています。とはいっても70点くらい。
一方で映画口コミレビューサイトには、主人公の声の演技に厳しい意見が見られましたが、それほど違和感はありませんでした。ヒロインの葉山 煌を演じるのは、新海誠監督作品「すすめの戸締り」でヒロインを勤めた原菜乃華さん。主人公の夏目 誠を演じるのは、主題歌を歌うtimeleszの佐藤勝利さん。声優初挑戦ということと、アニメ好きにはアイドルが声優を務めることへの抵抗が根強くあるので、そういう色眼鏡的なところからも厳しい評価につながってしまっているのかもしれません。
どうしてもハルの声の高橋李依が群を抜いている演技力なので、比較してしまうのはどうしても酷ではあります。
なんだかんだ言っても、戦争の記憶を風化させたくないという作り手の思いが、物語の随所に息づいているある意味戦争映画として良作に仕上がっていると思います。
過度な期待はせずに見に行くと、これいいじゃん!って思えるような日本の夏らしい作品でした。
関連情報
- 公式サイト
- 漫画連載『君と花火と約束と@comic』
真戸香による小説『君と花火と約束と』を、 『妖トリカルテ』、『女だから、とパーティを追放されたので伝説の魔女と最強タッグを組みました』(コミカライズ版)のりりうら世都が完全コミカライズ!! 高校一年の春、夏目誠は初めて出会った少女から「ずっと君に会いたかった」と突然の告白を受ける。 その少女の名前は葉山煌(あき)。煌は幼少の頃から曽祖母より、一枚の花火の絵と共に「いつか夏目誠と出会う」と聞かされていたという。 明らかな人違いだったが、誠は煌のために”本物の夏目誠”捜しを手伝うことに―― 長岡まつり大花火大会を舞台に願い紡ぐ、時を越えた感動の青春ラブストーリー!







