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若者はiPhone、40代以上はAQUOS!日本のスマホが世代で真っ二つに分かれる理由とは

2026 9/18
IT
Android iphone スマートフォン
2026年9月18日

MMD研究所が2026年9月17日に公表した「2026年8月スマートフォンOSシェア調査」で、日本国内でメインに使われているスマートフォンのOSは、Androidが54.1%、iPhoneが45.6%(その他0.4%)となりました。その差は8.5ポイント。ITmedia NEWSが9月18日に報じ、SNSでも「ついにAndroidが逆転した」という反応が広がっています。

ただ、この数字を「iPhone離れの始まり」と読むのは、少し早いかもしれません。過去の調査を並べてみると、もっと複雑で面白い構図が見えてきます。以下、実データをたどりながら整理していきます。

目次

調査の中身をまず確認しておく

調査期間は2026年8月1日から6日まで。対象は18歳から79歳の男女4万人で、インターネット経由のアンケートです。このうち「自分のメイン端末の機種を把握している」と答えた3万4838人を集計対象としています。回答は人口構成比に合わせてウエイトバック(実際の人口分布に近づける重み付け)をかけたうえで算出されました。設問は全12問です。

つまりこれは「今この瞬間、誰がどの端末を使っているか」を測った保有ベースの数字です。年間にどれだけ売れたかを示す出荷台数とは別物である点を、頭に置いておいてください。後述しますが、この違いが数字のねじれを生んでいます。

8年分の推移──実は「逆転」というほど珍しくない

MMD研究所は同じ設計の調査を繰り返してきました。過去の結果を並べると、次のようになります。

調査時期AndroidiPhoneその他
2018年8月50.6%44.4%5.0%
2019年11月57.2%42.8%-
2021年11月47.0%45.7%7.2%
2022年4月51.5%44.1%4.4%
2023年9月49.7%50.0%0.3%
2024年9月50.1%49.6%0.3%
2025年9月51.4%48.3%0.3%
2026年2月50.8%49.0%0.3%
2026年8月54.1%45.6%0.4%

一目でわかるのは、Androidが今回初めてiPhoneを抜いたわけではないということです。2018年からの9回のうち、iPhoneが上回ったのは2023年9月の一度だけ。それも50.0%対49.7%という、誤差の範囲に近い差でした。ガジェット系メディアのOREFOLDERも「毎回この調査が出るとSNSで騒がれるが、2018年から基本的に差はほとんどなく、どちらかといえばずっとAndroidのほうが優勢」と指摘しています。

では今回の何が新しいのか。答えは差の大きさです。2023年から2026年2月までの4回は、両者の差が1ポイント前後から3ポイント程度に収まっていました。それが今回は8.5ポイントに開いた。半年前の2026年2月と比べると、Androidは3.3ポイント増、iPhoneは3.4ポイント減です。これまでの微差の攻防とは明らかに動きが違います。

数字の読み方に一つだけ注意点がある

ここで公平に指摘しておきたい点があります。今回の調査は対象年齢が18歳から79歳ですが、2026年2月調査までは18歳から69歳でした。つまり70代という新しい層が加わっています。

70代の集計対象は5980人。全体3万4838人の約17%にあたる規模です。そしてこの年代のトップ端末は「AQUOS」でした。高齢層はAndroid比率が高い傾向があり、2025年9月調査でも60代男性のAndroid利用率が65.0%と全性年代で最も高い値を記録しています。

したがって、Androidが3.3ポイント伸びた要因の一部は、Android比率の高い年代が集計に加わったという設計変更に由来する可能性があります。これはMMD研究所が明示している解釈ではなく、公開された調査概要から筆者が読み取った推測です。ただ、数字を鵜呑みにせず割り引いて考える材料としては、押さえておく価値があるでしょう。とはいえ設計変更だけで3.3ポイント全部を説明できるわけでもありません。実態としてAndroidが押し上げられた要素も、次に見ていくとおり複数あります。

逆転の背景その1──iPhoneが「2回」値上げされた

2026年のiPhoneは、日本市場で価格が大きく動きました。

まずAppleは7月18日未明、事前告知なしに国内のiPhone全モデルを値上げしました。上げ幅はモデルと容量によって8000円から2万5000円。標準モデルのiPhone 17(256GB)は12万9800円から14万2800円になり、廉価モデルのiPhone 17e(256GB)も9万9800円から10万7800円へ上がって10万円の大台を超えています。最も上げ幅が大きかったのはiPhone 17 Pro Maxの2TBモデルで、32万9800円から35万4800円へと2万5000円の改定でした。

CNET Japanの分析によれば、この時点で米国での値上げは確認されておらず、日本の新価格を税抜換算すると1ドル約157円。従来の約142円から円安方向に見直された計算になります。当時の為替相場は1ドル162円台まで進んでいました。日本固有の、為替要因が濃い改定だったわけです。

さらに9月10日、AppleはiPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Duoを発表すると同時に、継続モデルを再度値上げしました。iPhone 17(256GB)は15万9800円へ(7月比+1万7000円)、iPhone 16(128GB)は12万4800円から13万9800円へ(+1万5000円)。iPhone Airの1TBモデルは24万7800円から29万4800円へ、4万7000円も上がっています。

注目したいのは調査のタイミングです。8月1日から6日の調査は、7月の値上げ直後で、9月の値上げ前。つまり今回の54.1%という数字には、1回目の値上げの影響が反映されている一方、2回目はまだ入っていません。次回調査で差がさらに開くのか、それとも落ち着くのか。判断材料がそろうのは次のリリースということになります。

逆転の背景その2──「3万円未満のスマホ」はすべてAndroid

価格という論点は、実は端末そのものの構造にも根を張っています。

MM総研が2026年2月に公表した2025年暦年の出荷分析によると、税込発売時価格が2万9999円以下の低価格帯は、2019年の3.8%から2025年には14.4%まで拡大しました。ここで決定的なのが、OS別の内訳です。iPhoneには2019年から2025年まで一貫して2万9999円以下のモデルが存在せず、2025年には約96%が10万円以上でした。対するAndroidは、同じ価格帯が2019年の7.3%から2025年には29.1%へと約4倍に増えています。

MM総研は端的にこう述べています。スマートフォン市場の低価格モデルはすべてAndroidである、と。その背景として、電気通信事業法の一部改正に伴う値引き上限額を意識した販売戦略の影響を挙げています。2万2000円の割引を適用して「1円販売」を成立させる低価格Androidという構図です。

「とにかく安く連絡手段を持ちたい」「サブ回線用に1台ほしい」「そろそろガラケーから替えないといけない」。こうした動機で店頭に立った人が選べる選択肢は、価格帯だけを見ればAndroidしか残っていません。iPhoneが2回値上げされた2026年は、この非対称がさらに際立った年だったといえます。

逆転の背景その3──ドコモ3G終了という「強制イベント」

もう一つ、2026年に特有の事情があります。NTTドコモは2026年3月に3Gサービスを終了し、「iモード」は3月31日をもって提供を終えました。3Gしか使えないガラケーは、この時点で通話ができなくなります。

MM総研は2025年度通期(2025年4月〜2026年3月)の出荷分析で、スマートフォンが伸びた要因の一つとして、まさにこのドコモ3G停波に伴う特需を挙げています。同期間の総出荷台数は3224万台(前年度比3.8%増)、うちスマートフォンは3132.8万台(同4.3%増)。一方でフィーチャーフォンは91.2万台(同10.9%減)と、2000年度に統計を取り始めて以来はじめて100万台を割り込みました。

ガラケーを最後まで使い続けていたのは、主に中高年から高齢層です。その人たちが「使えなくなるから」という理由で一斉にスマホへ移った。店頭で案内されるのは、価格が抑えられ、大きな文字表示やシンプルな操作に対応した国内メーカー製Android。この流れが2026年前半に集中したことは、8月時点の保有ベースの数字を押し上げる方向に働いたと考えるのが自然です。

40代以上の1位が「AQUOS」である理由

今回の調査でもう一つ話題になったのが、年代別のトップ端末です。10代・20代(5140人)は「iPhone 17」、30代(4869人)は「iPhone 16」がトップ。これに対し、40代(6101人)、50代(6971人)、60代(5777人)、70代(5980人)は、いずれも「AQUOS」が首位でした。

この結果は前回より意味が重くなっています。2026年2月の調査では、年代別のトップをiPhoneユーザー内とAndroidユーザー内で別々に集計していました(iPhoneは全世代でiPhone 16、Androidは10〜20代がGoogle Pixel、30〜60代がAQUOS)。今回はOSを分けず全体で集計しているため、「40代以上ではAQUOSが、どのiPhoneの世代よりも多い」ことを意味します。

なぜAQUOSなのか。シャープの説明を見ると、位置づけがはっきりしています。エントリー帯のAQUOS wishシリーズは「大きくて見やすい画面、シンプルで使いやすい操作性、手頃な価格が魅力のベーシックモデル」とされ、明確に使いやすさと価格で勝負する設計です。日経クロステックも、性能は抑えめだが価格の安いローエンド機は国内の出荷台数シェアを大きく左右するほどの存在になっていると指摘し、シャープがAQUOS wish5で薄利多売の戦略を打ち出したと報じています。

中位機の充実も効いています。2026年7月17日発売のAQUOS sense10はSnapdragon 7s Gen 3を搭載し、重量166g、バッテリー容量5000mAhという構成。ASCIIのレビューは「スマホは6万円のこれで十分です」という見出しで、価格に対する納得感を評価しています。

要するに、長く売られ、店頭で勧められやすく、価格帯の上下に選択肢があるシリーズが、買い替えのたびに同じ名前で選ばれ続けている。40代以上の首位という結果は、一度の大ヒットではなく積み上げの結果と見るのが妥当でしょう。実際、AQUOSの25.9%という数字は2026年2月と同じ水準で、前回比では横ばいです。伸びたのはむしろGoogle Pixel(16.2%→17.6%)でした。

若年層がiPhoneに集まるのは、性能の話だけではない

一方、10代・20代のトップがiPhone 17だった点も見逃せません。iPhone 17は2025年9月19日発売で、調査時点では発売から1年に届かない新しい世代です。これが最多という結果は、若年層が新しい機種へ移りやすいことを示しています。

背景には価格以外の力学があります。日経MJがiPhoneを使う学生500人に実施した調査では、97%が「次のスマホもiPhoneにする」と回答しました。理由として写真や連絡先を瞬時に共有できるAirDropの存在を挙げた人が50%。さらに6割弱が「iPhoneでないと肩身が狭い」と答えており、日経は同調圧力がにじむ結果だと報じています。記事には「少し肩身が狭い」と答えた19歳の男子大学生の声も紹介されていました。

ここが若年層と中高年の分岐点です。機能面での優劣というより、周囲との共有手段や、グループ内で同じものを持っていることの安心感が選択を規定している。AirDropのように相手も同じOSであることを前提とした仕組みは、使う人が多い環境ではさらに使う人を増やす方向に働きます。中高年層ではこの圧力が弱く、価格や見やすさといった実用面が前に出る。同じ国の同じ調査で真逆の結果が出るのは、判断基準そのものが世代で違うからです。

なお2025年9月調査では、iPhone利用率が最も高かったのは20代女性で81.0%、次いで10代女性が73.7%、20代男性が69.6%でした。逆にAndroidが高かったのは60代男性の65.0%、60代女性の61.9%、50代男性の61.2%。世代差は一貫して観測されている傾向です。

キャリアによって景色がまるで違う

契約している通信ブランド別に見ると、さらに分かれます。

iPhone比率が最も高かったのはNTTドコモの料金プランahamoで60.5%。次にLINEMOが59.4%、SoftBankが59.1%と続きました。逆にAndroid比率が最も高いのは楽天モバイルで62.6%、次いでdocomoが60.2%、auが52.9%です。

同じドコモ系でありながら、ahamoはiPhone優勢、docomoブランドはAndroid優勢という対照が印象的です。オンライン申込が前提で若年層の加入が多いahamoと、実店舗を介した契約が多いdocomoブランドとで、利用者層が分かれている可能性があります。ただしMMD研究所はこの点について理由を述べておらず、あくまで数字から読める傾向にとどまります。

変化の速さも注目に値します。2026年2月調査ではiPhone比率のトップはSoftBank(62.6%)、Android比率のトップは楽天モバイル(58.7%)でした。半年でiPhone首位ブランドが入れ替わり、楽天モバイルのAndroid比率は約4ポイント上がっています。またAndroidが50%を超えたブランドは前回2つでしたが、今回は4つに増えました。

「Appleが15年連続1位」と「Androidが54.1%」は矛盾しない

ここで一つ、混乱しやすい話に触れます。MM総研の集計では、2025年度通期のメーカー別総出荷台数シェア1位はAppleで、1615.4万台(前年度比4.9%増)、シェア50.1%。15年連続のトップです。スマートフォンだけに限ればシェア51.6%で、4年連続の過半数を占めています。2位はGoogle、3位はサムスン電子、4位はシャープ、5位はFCNT、6位は京セラという順で、上位6社の合計が90.3%でした。

出荷ではAppleが過半、保有ではiPhoneが45.6%。一見ぶつかって見えますが、測っているものが違います。出荷台数は一定期間に何台売れたかの数字で、同じ人が2年おきに買い替えれば2回カウントされます。保有ベースは今使っている端末を1人1台として数えます。買い替えの間隔が短いほど、出荷シェアは保有シェアより高く出ます。この解釈はMM総研やMMD研究所が明言しているものではなく、両調査の定義の違いから導かれる筋道です。

同じ理由で、海外系の統計とも数字が合いません。StatCounterの集計では、2025年8月から2026年8月の日本のモバイルOSシェアはiOS 64.95%、Android 35.04%で、MMD研究所とはまったく逆の結論になります。ただしStatCounterが数えているのはウェブサイトの閲覧数で、人の数ではありません。同期間の世界全体はAndroid 67.45%、iOS 32.52%です。どの数字が正しいかという問いよりも、何を測った数字かを確かめるほうが実用的です。

これから起きそうなこと──メモリ高騰と「1円端末」の行方

最後に、今後を左右しそうな変数を挙げておきます。

MM総研は2026年度の総出荷台数を2997万台(前年度比7.0%減)、スマートフォンを2915万台(同7.0%減)と予測し、3000万台割れを見込んでいます。理由は世界的なAI需要の高まりによる半導体メモリー(DRAM・NAND)の争奪戦と価格暴騰です。同社は端末メーカーが価格の値上げ、スペックダウンによる価格維持、ラインアップの見直しという選択を迫られているとし、2029年度までは減少トレンドが続くと見ています。

そのうえで示されたのが、2万2000円割引を適用して1円販売を実現する低価格Androidが2026年以降も製造できるかの岐路にあるという見方です。もし1円端末が縮小あるいは終了すれば、これまでAndroidの数を支えてきた最下段が細くなります。Androidの強さの一部は安さに支えられてきたわけで、その前提が揺らぐ可能性があるということです。

一方でiPhone側も、7月と9月の2回にわたる値上げによって価格の壁が高くなりました。どちらも値上げ圧力にさらされている点では同じです。次回のMMD研究所の調査が、2回目の値上げとメモリ高騰の影響をどう映すのか。54.1%という数字が定着するのか、揺り戻すのか、判断はもう少し先になります。

数字の要点をまとめると

2026年8月時点で、メイン利用のOSはAndroidが54.1%、iPhoneが45.6%、差は8.5ポイント。過去9回の調査でAndroid優勢自体は珍しくないものの、これほど差が開いたのは初めてです。Androidの内訳ではAQUOSが25.9%で首位、Google Pixelが17.6%、Galaxyが14.1%。iPhoneではiPhone 16が21.8%、iPhone 17が17.3%、iPhone 15が12.4%と続きました。

次に買いたい端末を見ると、iPhoneユーザーの66.5%がiPhone 17を選び(2026年2月は58.6%)、AndroidユーザーではAQUOSが26.3%、Google Pixelが21.4%、Xperiaが17.5%でした。iPhone側の選択が1機種に集中する一方、Android側は複数のシリーズに分散している。この構造の違いも、両陣営の性格をよく表しています。

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