記事を書き終えて、最後に手が止まる場所がある。URLの末尾だ。
「ラーメンの食べ歩き記録」という記事に、どんな英数字を当てればいいのか。ramen? ramen-walk? それとも日本語のまま「ラーメン食べ歩き」で公開してしまうか。毎回ここで数分悩み、結果として投稿IDのままにしてしまった人も少なくないと思う。
今回紹介する「日本語タイトル → URLスラッグ変換ツール」は、その数分をゼロにするための道具だ。タイトルをひらがな・カタカナで入力すれば、ヘボン式ローマ字のURLスラッグが自動で生成される。しかも、単語ごとに半角または全角スペースで区切って入力すると、変換の精度がさらに上がる。
せっかくなので、ツールの使い方だけで終わらせるのはもったいない。この記事では、スラッグという言葉の由来、Googleが公式に何を言っているのか、そして2025年12月に約70年ぶりに改定されたローマ字の公的ルールまで、まとめて扱う。読み終えたときには、URLの末尾で悩むことがちょっとした楽しみに変わっているはずだ。
ツールの使い方
基本の流れ
使い方は三段階しかない。
記事タイトルを頭の中で読み上げ、その読みをひらがな(またはカタカナ)で入力する。単語の切れ目にスペースを入れる。変換ボタンを押す。これだけだ。
| 入力の仕方 | 入力例 | 生成されるスラッグ |
|---|---|---|
| 区切りなし | らーめんたべあるき | ramentabearuki |
| スペース区切り | らーめん たべあるき | ramen-tabearuki |
| カタカナ混在+区切り | ラーメン 食べ歩き(たべあるき) の読みを ラーメン タベアルキ | ramen-tabearuki |
※生成結果はツールの実装によって細部が変わります。上表は「スペース区切りが何を変えるか」を示すための例です。
なぜスペース区切りで精度が上がるのか
理由は大きく三つある。
ひとつめは、単語の境界が分かるとハイフンを入れる位置が決まること。Googleは公式ドキュメントで、URL内の単語を区切る文字としてアンダースコア(_)ではなくハイフン(-)を使うよう推奨している。単語がつながったまま(たとえば greendress)のURLは推奨されないパターンとして挙げられている。区切りを人間が教えてやれば、機械は迷わない。
ふたつめは、「ん」の後ろの処理だ。「ん」と次の母音がくっつくと読みが変わってしまう。たとえば「たんい(単位)」を素直に tani と書くと「谷」とも読めてしまう。2025年12月22日に告示された新しい「ローマ字のつづり方」では、こうした音の切れ目を示すために '(アポストロフィ)を使い、tan'i、sen'in、ton'ya と書くと定めている。単語境界が分かっていれば、ツール側でこの判定を安定させられる。
みっつめは、母音が連続したときの判定だ。同じ告示は「大伯父(おおおじ)」を oo'oji、「小唄(こうた)」を ko'uta と、切れ目を明示する例を挙げている。「こうた」が「小+唄」なのか「幸太」なのかは、読みの文字列だけからは判断できない。区切りを入れるのは、人間にしかできない補助なのだ。
なお、URLのパス部分でアポストロフィを使うのは実務上おすすめしにくい。スラッグに落とすときは tan-i のようにハイフンへ置き換えるか、そもそも単語単位で区切って tani+別語にする、といった判断を挟むとよい。
日本語タイトルURLスラッグ変換ツール
🔤 日本語タイトル → URLスラッグ変換ツール
タイトルをひらがな・カタカナで入力すると、ヘボン式ローマ字のURLスラッグを自動生成します。 単語ごとに半角または全角スペースで区切って入力すると、より精度の高い変換になります。
✅ コピーしました!
そもそも「スラッグ」とは何なのか
URLのどこを指す言葉か
スラッグは、URLの末尾にある、そのページ固有の文字列を指す。
Copyhttps://example.com/blog/ramen-tabearuki/
^^^^^^^^^^^^^^^
ここがスラッグ
WordPressでは投稿・固定ページの編集画面からこの部分を設定でき、URLの全体構造は「設定 → パーマリンク」で決める。Wixでも同様に、ページのSEO設定内にある「URLスラッグ」欄で編集する仕組みになっている。ヘルプでは「メインドメイン名の後に表示されるURLの一部で、ユーザーと検索エンジンはこれを見てページを判別する」と説明されている。
パーマリンクとスラッグは混同されやすいが、関係はシンプルだ。パーマリンクがURL全体の設計図で、スラッグはその設計図の中に差し込む一枚のラベル、と考えるとつかみやすい。
ナメクジ? 鉛の棒? 語源をめぐる小話
ここからが雑学の本題である。
英単語 slug の語根は、中英語の slugge(のろま、怠け者)にさかのぼるとされ、動きの鈍いものを指す語感が出発点になっている。ナメクジの意味も、散弾銃のスラッグ弾(一発弾)の意味も、この「重くて鈍いかたまり」という感覚から派生した親戚同士だ。
ではウェブのスラッグはどこから来たのか。IT分野で広く語られているのは、新聞業界の習慣が由来という説だ。記事が制作工程を流れていく間、内容を思い出すための短い仮見出し・コードネームを付ける慣習があり、それが slug と呼ばれた。脚本の場面見出しを「スラッグライン」と呼ぶのも同じ系統の語彙である。活字組版で行間に挟んだ鉛のストリップを slug と呼んだ、という印刷用語からの説明もあり、金属加工で打ち抜き後の端材を slug と呼ぶ用法も併存している。どれが唯一の正解かを断定する公的な記述は見つからないが、「内容を一言で識別する短い符号」という機能は、新聞の仮見出しから現代のURLまで見事に一貫している。
記事に付ける短いラベル。それがスラッグの本質だ。この理解があるだけで、スラッグ作りはぐっと楽になる。タイトルを一字一句移し替える必要はなく、識別できればいいのだから。
日本語スラッグ、英語スラッグ、ローマ字スラッグ——Googleは何と言っているか
検索してみると、この論点は驚くほど盛り上がっている。「スラッグ 日本語 seo」「urlスラッグ 日本語」「wordpress スラッグ 日本語 禁止」といったサジェストが並ぶことからも、迷っている人の多さがうかがえる。
ここは伝聞ではなく一次情報を見よう。
Googleの公式見解(2点)
Google検索セントラルの「URL構造のベストプラクティス」には、オーディエンスの言語の単語をURLに使うという項目がある。ドイツ語で検索する読者にはドイツ語の単語を、日本語で検索する読者には日本語の単語を、という趣旨で、日本語を含んだURL自体が例として掲載されている。つまり「日本語スラッグは禁止」も「日本語は不利」も、Googleは言っていない。
同じページには、自サイト内へリンクを張るときは必要に応じてパーセントエンコードを使う(非ASCII文字はパーセントエンコードすべき)とも書かれている。つまり日本語URLは「使ってよいが、内部的にはエンコードされる前提の存在」だ。
もうひとつ。「SEOスターターガイド」の“注力しなくてよいこと”の一覧に、ドメイン名やURLパスのキーワードが入っている。ランキングの観点では、パンくず表示に現れる以外にほとんど効果がない、と明記されている。スラッグにキーワードを詰め込む努力は、順位のためにはほぼ報われないということだ。
では何を基準に選ぶのか
順位が動かないなら、判断基準は「運用のしやすさ」に移る。
日本語スラッグの弱点は検索ではなく取り扱いにある。ひらがな1文字は、UTF-8のパーセントエンコードで %E3%81%82(「あ」)のように9文字相当へ膨らむ。「あい」なら %E3%81%82%E3%81%84 だ。ブラウザのアドレスバーではきれいな日本語に見えていても、コピーしてチャットやメール、スプレッドシートに貼ると、この長い文字列が現れる。SNSで共有したとき何のページか読み取れない、アクセス解析やサーバーログで目視確認しづらい、といった不便が積み重なる。
一方の英訳スラッグは、タイトルを忠実に訳そうとすると長くなり、不自然な英文になりやすい。また、日本語で考えた概念に当てる英単語が毎回ぶれる、という管理上の問題も起きる。
そこで現実的な第三の道がヘボン式ローマ字だ。半角英数字だけで構成されるのでエンコードの問題が起きず、読みがそのまま残るので日本語話者が見て何の記事か分かる。英訳の語選びに悩む時間もいらない。冒頭のツールが狙っているのは、まさにこの地点である。
| 観点 | 日本語スラッグ | 英訳スラッグ | ローマ字スラッグ |
|---|---|---|---|
| Googleの推奨との関係 | 「オーディエンスの言語」に該当し、公式に例示されている | 問題なし | 公式ドキュメントは「音訳した語(transliterated words)」にも言及 |
| ランキングへの影響 | URLパスのキーワード自体はほぼ影響しないとされる | 同左 | 同左 |
| コピペ・共有時の見た目 | パーセントエンコードで長くなる | 短く保てる | 短く保てる |
| ログ・解析での視認性 | 読みづらくなる場面がある | 読みやすい | 読みやすい |
| 作成にかかる手間 | ほぼゼロ(自動入力) | 語選びの判断が必要 | 読みを入れるだけ(ツール利用で自動化) |
| 日本語話者にとっての意味の通りやすさ | 高い | 内容と語彙次第 | 読めば分かる |
英訳が得意な人は英訳を選べばいい。ここで言いたいのは、「英語が書けないから投稿IDのまま」という選択をしなくて済む、ということだ。
すでに日本語スラッグで公開している記事は?
慌てて直さないほうがいい。URLの変更は単なる名称変更ではなく、検索エンジンから見ればページの移転にあたる。どうしても変えるなら旧URLから新URLへの301リダイレクト(恒久的な転送)を設定し、サイト内の内部リンクも書き換える必要がある。すでに検索から人が来ている記事を「英語のほうがSEOに良さそうだから」という理由だけで動かす利点は、公式情報からは見いだしにくい。
新しく書く記事から、スラッグの付け方を整える。それで十分だ。
ヘボン式ローマ字の基礎知識
ここでツールが採用している「ヘボン式」について整理しておく。
名前の由来はアメリカ人宣教師
ヘボン式の「ヘボン」は、アメリカ人宣教師 James Curtis Hepburn(1815–1911)に由来する。Hepburn は現代のカタカナ表記なら「ヘプバーン」に近いが、当時の日本人の耳には「ヘボン」と聞こえ、本人も漢字で「平文」と署名していたという。彼が1867年(慶応3年)に刊行した和英辞典『和英語林集成』で用いたローマ字が、その源流にあたる。子音は英語、母音はイタリア語(ラテン語)を基本にした設計だ。
その後、1886年に出た同書の第3版で羅馬字会の方式が取り入れられ、これ以降のつづり方が一般に「ヘボン式(標準式)」と呼ばれるようになった。『和英語林集成』は明治学院の創設者による日本初の和英辞典として、デジタルアーカイブでも公開されている。
「音そのものを写す」という設計思想の結果、シ=shi、チ=chi、ツ=tsu、フ=fu のように、機械的な規則から外れるつづりが生まれた。これは英語話者にとって読みやすい代わりに、日本人にとっては覚える項目が増える、という交換条件になっている。
日本式・訓令式との違い
ローマ字には系統がいくつかある。
日本式は1885年に田中舘愛橘が考案したもので、音が持つ意味(仮名の体系)を表現する日本人向けの方式だ。訓令式はこれをベースに1937年の内閣訓令で公的な方式として定められ、小学校で習うつづり方として広まった。さ行はすべて s、た行はすべて t と、例外がほとんどなく機械的に変換できるのが特徴である。
つまり「si か shi か」という長年の混在は、思想の違いから来ている。そしてこの混在に、2025年末、大きな決着がついた。
【2025年12月22日】ローマ字の公的ルールが約70年ぶりに改定された
これは、この記事でいちばん新しい話題だ。
文化審議会は2025年8月20日、ローマ字表記についてヘボン式を基本とする「改定ローマ字のつづり方」を文部科学大臣に答申した。そして2025年(令和7年)12月22日、「ローマ字のつづり方」が令和7年内閣告示第4号として告示された。同時に、1954年(昭和29年)の内閣告示第1号は廃止された。訓令式を第1表、ヘボン式を第2表として併記してきた約70年来の枠組みが、ここで切り替わったことになる。
告示の前書きには、これが「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語をローマ字で書き表す場合のよりどころ」である、と書かれている。専門分野や個人の表記まで縛るものではない、過去の著作のつづりを否定するものでもない、という留保も明記されている。
何がどう変わったか
| 仮名 | 旧告示・第1表(訓令式) | 新しい「本表」 |
|---|---|---|
| シ | si | shi |
| シャ/シュ/ショ | sya / syu / syo | sha / shu / sho |
| ジ | zi | ji |
| ジャ/ジュ/ジョ | zya / zyu / zyo | ja / ju / jo |
| チ | ti | chi |
| チャ/チュ/チョ | tya / tyu / tyo | cha / chu / cho |
| ツ | tu | tsu |
| フ | hu | fu |
| ヲ | o | o(現代では別の仮名と同音として扱い、使い分けない) |
| ヂ/ヅ | di / du | ji / zu(同上) |
「くわ」「ぐわ」に対応する kwa・gwa は、歴史的仮名遣いと対応する場合にのみ用いられたつづりで、現代仮名遣いでは「か」「が」と書いて使い分けないことが対照表で示されている。
撥音・促音・長音のつづり方(新告示の「添え書き」より)
ここは実務でいちばん使う部分なので、表で押さえておこう。
| 項目 | 新しいルール | 例 |
|---|---|---|
| 撥音「ン」 | n と書く | あんまん anman / 乾杯 kanpai / 銀座 Ginza / 新聞 shinbun |
| 促音「ッ」 | 子音字を重ねる。子音字が2文字なら最初の字(sh の s、ch の c)を重ねる | 雑誌 zasshi / 鉄板 teppan / 日直 nicchoku / 薬局 yakkyoku |
| 長音(符号) | 母音字の上に「¯」を付ける(必要なら「^」でも可) | 十五夜 jūgoya / 東北 Tōhoku |
| 長音(母音字を並べる) | 現代仮名遣いと同様に母音字を並べてもよい | 十五夜 juugoya / 東北 Touhoku / おおかみ ookami |
| 音の切れ目 | ' を用いる | 単位 tan'i / 船員 sen'in / 問屋 ton'ya / 大伯父 oo'oji / 小唄 ko'uta |
| 複合語の分割 | 「-」を用いることができる | 九谷焼 Kutani-yaki / 田中さん Tanaka-san / 七五三 shichi-go-san |
| 固有名詞 | 語頭を大文字で書く | Ginza / Heisei |
注目してほしいのは、撥音がつねに n になった点だ。従来のヘボン式の慣用では b・m・p の前の「ん」を m と書き、「新橋」は Shimbashi、「天ぷら」は tempura とするのが一般的だった。新しい告示による表記では Shinbashi、tenpura となる。同様に促音の tch も使わず、「抹茶」は matcha ではなく maccha が告示による表記として示されている。
そして複合語を分けて書くときにハイフンを使えるというルールは、Googleが「単語の区切りにはハイフン」と推奨しているのと、きれいに重なる。九谷焼が Kutani-yaki になるのだから、スラッグに kutani-yaki と書くことは、いまや国語施策の側からも自然な書き方ということになる。冒頭のツールでスペース区切りを推奨している理由も、ここにつながっている。
「Tokyo」や「judo」はどうなる?
告示は、各分野で現に使われている表記を直ちに変更するよう求めるものではない、と明言している。参考として示された対照はこうだ。
| 現に用いられることのある表記 | 「ローマ字のつづり方」による表記 |
|---|---|
| judo(柔道) | jūdō / juudou |
| Tokyo(東京) | Tōkyō / Toukyou |
| Ohtawara(大田原) | Ōtawara / Ootawara |
| Shimbashi(新橋) | Shinbashi |
| ramma(欄間) | ranma |
| tempura(天ぷら) | tenpura |
| matcha(抹茶) | maccha |
さらに、個人の姓名や団体名を書き表す際は、告示を参考にしつつ当事者の意思を尊重するよう配慮するとされている。名前のつづりは自分で決めていい、という原則は守られたわけだ。
この一覧は、スラッグを作るときの現実的な判断材料にもなる。地名や競技名のように英語圏で定着した表記があるものは、あえて慣用の tokyo や judo を選ぶほうが読者に通じやすい。告示のつづりと慣用のつづり、どちらも「間違い」ではないと理解しておけば、迷いは減る。
目的別・ヘボン式の“流派”比較
ややこしいのは、ヘボン式と呼ばれるものが用途ごとに少しずつ違うことだ。ツールの出力を見て「パスポートと違う」と戸惑わないために、違いを整理しておく。
| 内閣告示「ローマ字のつづり方」(2025年12月22日) | 外務省ヘボン式(パスポート) | 駅名標ヘボン式 | |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など一般の社会生活 | パスポートの氏名表記 | 駅名の表示 |
| 「ん」+b/m/p | つねに n(新聞 shinbun) | M に変える(難波 NAMBA、本間 HOMMA、三瓶 SAMPEI) | — |
| 促音+ch | cch(日直 nicchoku) | T を置く(発地 HOTCHI、八丁 HATCHO) | — |
| 長音 | 「¯」を付ける/母音字を並べる | 原則として記入しない(伊藤 ITO、幸太 KOTA、大野 ONO) | マクロン「¯」で表す |
| 「んあ」と「な」の区別 | ' で区別(tan'i) | 区別しない | n-a と書いて区別する |
| 例外・特記 | 固有名詞は語頭大文字、複合語は「-」可、当事者の意思を尊重 | 末尾が「おお」で読みが「オ」のときは OO(妹尾 SENOO、横尾 YOKOO)。長音「OH」表記などは要相談。VA/VI/VU/VE/VO は使用不可 | — |
パスポートの表記が「長音を書かない」設計なのは、旅券という身分証明の性質上、綴りの一貫性を優先しているためだ。だから「ゆうこ」は YUKO、「ようこ」も YOKO になる。一方で駅名標は外国人旅行者が読み上げるための表示なので、長音をマクロンで残す。東京駅の駅名標が、JRでは Tōkyō、地下鉄では Tokyo と、並んで違う表記になっていることがある——というのは、ローマ字の面白さがぎゅっと詰まった実例だと思う。
スラッグ用途では、マクロン(ō)もアポストロフィ(')も使いにくい。母音字を並べる方式(toukyou / juugoya)か、慣用に寄せた省略形(tokyo)のどちらかを、サイト内で統一するのが実務的な落ち着き先になる。
五十音 → ヘボン式ローマ字 一覧表
ツールが内部で行っている変換を、目で確認できるようにしておく。以下は2025年12月22日告示の「本表」に沿った表記である。
清音・濁音・半濁音
| ア段 | イ段 | ウ段 | エ段 | オ段 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ア行 | a | i | u | e | o |
| カ行 | ka | ki | ku | ke | ko |
| サ行 | sa | shi | su | se | so |
| タ行 | ta | chi | tsu | te | to |
| ナ行 | na | ni | nu | ne | no |
| ハ行 | ha | hi | fu | he | ho |
| マ行 | ma | mi | mu | me | mo |
| ヤ行 | ya | — | yu | — | yo |
| ラ行 | ra | ri | ru | re | ro |
| ワ行 | wa | — | — | — | ヲ=o |
| ガ行 | ga | gi | gu | ge | go |
| ザ行 | za | ji | zu | ze | zo |
| ダ行 | da | ヂ=ji | ヅ=zu | de | do |
| バ行 | ba | bi | bu | be | bo |
| パ行 | pa | pi | pu | pe | po |
| ン | n |
拗音(小さい ャ・ュ・ョ)
| 仮名 | ャ | ュ | ョ |
|---|---|---|---|
| キ | kya | kyu | kyo |
| シ | sha | shu | sho |
| チ | cha | chu | cho |
| ニ | nya | nyu | nyo |
| ヒ | hya | hyu | hyo |
| ミ | mya | myu | myo |
| リ | rya | ryu | ryo |
| ギ | gya | gyu | gyo |
| ジ | ja | ju | jo |
| ヂ | ja | ju | jo |
| ビ | bya | byu | byo |
| ピ | pya | pyu | pyo |
太字が、旧告示の第1表(訓令式)から変わった部分だ。「シ・チ・ツ・フ・ジ」とその拗音だけ覚えれば、あとは規則的に並ぶ。こう見ると、覚える量は意外と少ない。
参考:外来音を含む表記について
告示は、外来語にのみ用いられる音や各地域に特有の音を対象としていない。つまり「ファ」「ティ」「ヴェ」などの表記は、この告示では定めていない。
パスポート用の参考表では、ヴァ=BA または BUA、フィ=FUI、ティ=TEI などの例が示され、VA/VI/VU/VE/VO は使用不可とされている。ただしこれはあくまで旅券の氏名表記のルールだ。記事のスラッグで「ヴィンテージ」を扱うなら、bintēji と苦しく変換するより、素直に vintage と英単語を使うほうが読者に伝わる。片仮名の外来語はローマ字化せず元の綴りを使う、という割り切りを、ツールの結果に一手だけ加えてやると仕上がりがよくなる。
変換例集——タイトルからスラッグまで
実際の流れを見てみよう。左から右へ、頭の中で一度読みに直し、区切りを入れて変換し、最後に人間が微調整する。
| 記事タイトル | 入力(スペース区切り) | 変換結果 | 最終的なスラッグ案 |
|---|---|---|---|
| 九谷焼の絵付け体験に行ってきた | くたに やき えつけ たいけん | kutani-yaki-etsuke-taiken | kutani-yaki-etsuke |
| 抹茶と煎茶の違い | まっちゃ せんちゃ ちがい | maccha-sencha-chigai | maccha-sencha |
| 十五夜のお供え物まとめ | じゅうごや おそなえもの | juugoya-osonaemono | juugoya-osonae |
| 新橋で立ち飲み | しんばし たちのみ | shinbashi-tachinomi | shinbashi-tachinomi |
| 問屋街の歩き方 | とんや がい あるきかた | ton'ya-gai-arukikata | tonya-gai-arukikata |
| 東京タワーの展望台 | とうきょう たわー てんぼうだい | toukyou-tawaa-tenboudai | tokyo-tower-tenboudai |
最後の2行がポイントだ。アポストロフィはハイフンに置き換えるか落とす。外来語と定着した地名は慣用の綴りに寄せる。そして全体を短く刈り込む。
スラッグは記事タイトルの翻訳ではなく、記事を識別するラベルである。この原則を思い出せば、刈り込むことに罪悪感はいらない。
スラッグ設計の実務チェックリスト
Google公式ドキュメントと告示の内容から、実務で効くポイントをまとめる。
区切りはハイフン
アンダースコアは推奨されない。プログラミング言語の関数名(format_date など)のように「まとめて一語」を示す用法として広く使われてきた経緯があるためだ。
大文字・小文字は別物として扱われる
GoogleのURL処理はIETF STD 66に従って大文字小文字を区別し、/APPLE と /apple は別URLとみなされる。サーバー側が同一視する設定なら、どちらかに統一しておくのが安全だ。スラッグは小文字で揃えるのが無難である。
意味の分かる語を入れる
ランダムなIDだけのURLは、ユーザーにとって手がかりにならない。https://www.example.com/pets/cats.html と https://www.example.com/2/6772756D707920636174 のどちらが親切かは、比べれば明らかだ。パスの語は検索結果のパンくずに現れることもある。
パラメータは減らす
内容が変わらないパラメータは削る。フィルタの組み合わせやセッションIDで無数のURLが生まれると、クロールの効率が落ちる。
キーワードを詰め込まない
URLパスのキーワードは、パンくず表示を除けばランキングにほぼ効かない。不自然な長さになるくらいなら短くする。
一度公開したら動かさない
変更するなら301リダイレクトを設定し、内部リンクも更新する。同じ内容が複数URLで見られる状態になったら、リダイレクトか rel="canonical" で正規URLを示す。
長さは常識の範囲で
技術的な上限とは別に、実務では2,048文字程度を上限の目安とする解説が広く見られる。とはいえスラッグが数十文字を超えるなら、それは刈り込む合図だと思ったほうがいい。
よくある疑問(検索されている順に答える)
Q. WordPressで日本語スラッグを使うと、何が起きますか
パーマリンク構造を「投稿名」にしていてスラッグを手入力しない場合、記事タイトルがそのまま日本語のスラッグになる。リンクとして機能はするが、コピーしたときにパーセントエンコードされた長い文字列になり、SNSやメールでの共有時に読み取りづらくなる。自動で記事IDに置き換えるコードや、翻訳系プラグインで英語スラッグを自動生成する方法が広く紹介されている。ローマ字で統一したい場合は、冒頭のツールで生成した文字列を貼るのが手数として最も少ない。
Q. 「URLスラッグ」の入力欄が見つかりません
WordPressでは個々のページのURLを投稿・固定ページの編集画面から変更でき、URL全体の構造は「設定 → パーマリンク」で設定する。Wixではページの設定内でURLスラッグを入力し、Enterキーで確定する仕様がヘルプに記載されている。なお、Wixのグループページの各タブのようにスラッグを編集できない箇所もあるとされている。使っているCMSのヘルプで「URLスラッグ」を検索するのが最短ルートだ。
Q. スラッグを変えたら検索順位は上がりますか
公式情報からは、期待しにくい。URLパスのキーワード自体はランキングにほとんど影響しないとGoogleは説明している。スラッグを整える目的は、順位ではなく、読者の分かりやすさと運営者自身の管理のしやすさにある。
Q. ヘボン式で使わないアルファベットは?
「ヘボン式ローマ字 使わないアルファベット」というサジェストが出るほど気になる論点だ。2025年12月告示の「本表」に並ぶ文字を見ると、l・q・v・x は現れない。パスポート用の表記でも VA/VI/VU/VE/VO は使用不可とされている。外来音を扱わない設計だからこそ、こうなっている。
Q. スペースを全角で入れても大丈夫ですか
このツールは半角・全角どちらのスペースでも単語の区切りとして受け付ける。日本語入力のまま打てるので、全角のほうが入力の切り替えが少なく済むことも多い。

