対戦五目ならべ
🎯 五目並べ
碁石を5つ並べるだけ。なのに、なぜ勝てないのか

黒と白の石を交互に置いて、縦・横・斜めのどれかに先に5つ並べたほうが勝ち。
ルールの説明はこれで終わりです。
ところが実際に打ってみると、並べたつもりの3つはあっさり止められ、気づけば相手の石が四方から迫っている。守り一辺倒になった瞬間、勝負はほぼ決まっています。
この「覚えるのは一瞬、勝つのは至難」という落差こそ、五目ならべが江戸時代から現代まで遊ばれ続けている理由でしょう。
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開いたらすぐ1局。
以下では初心者向けのルール解説から、勝率を上げる具体的な手筋、そして知っていると誰かに話したくなる雑学までをまとめました。
五目ならべの基本ルール
盤と石
使う道具は囲碁と同じ、碁盤と碁石です。石を置くのはマスの中ではなく、線と線が交わる「交点」の上。ここを間違える初心者が意外と多いので、最初に押さえておきましょう。
盤のサイズは、家庭で遊ぶぶんには19路の碁盤でも方眼紙でも構いません。ただし競技として整備された「連珠(れんじゅ)」では、縦横15本の線を引いた15道盤が正式とされています。交点の数は225、マス目は196。第3世名人の高木楽山が15道盤の採用を決めるまでは、囲碁と同じ19道盤が使われていました。盤が広いほど先手が有利になる性質があるため、これ以上は広げないと定められた経緯があります。
手順と勝敗
黒が先手です。黒→白→黒→白と1手ずつ交互に置いていき、空いている交点ならどこでも打てます。オセロと違って、一度置いた石は裏返りませんし、取られることもありません。盤の上の情報は増えていく一方です。
縦・横・斜め45度のいずれかに自分の石が5つつながった瞬間、その場で勝ち。どちらも並べられないまま盤が埋まってしまった場合は引き分けで、連珠ではこれを「満局(まんきょく)」と呼びます。
覚えておきたい5つの用語
ここから先の話が一気にわかりやすくなるので、用語だけ先に整理します。
三(さん)
3つ並んでいて、両端がどちらも空いている形。「活三」ともいいます。放っておくと次に四になります。
四(し)
4つ並んだ形。あと1つで五連なので、相手は必ず止めなければなりません。
達四(たつし)/棒四
4つ並んで両端が空いている形。片方を止めてももう片方で五連になるため、この形ができた時点で勝ちが確定します。相手の三を放置してはいけない理由が、まさにこれです。
飛び三・飛び四
間が1つ空いた三、四のこと。「●●_●」のような形ですね。つながっていないので見落としやすいのですが、効果は普通の三・四と変わりません。初心者が最も多く事故を起こすのがここです。
眠三(みんさん)/剣先
片端が相手の石か盤の端で止まっている3連。放置しても達四にはならないため、三としては数えません。
先手が有利すぎる問題と「禁じ手」
正直に書くと、何の制限もない五目ならべは先手(黒)が有利です。
これは感覚的な話ではなく、後述するとおり数学的に証明されています。
そこで先手にだけ課されるのが禁じ手(禁手)です。三種類あります。
三三禁
1手で三を2つ以上同時に作ること。相手は片方しか止められないので禁止。
四四禁
1手で四を2つ以上同時に作ること。これも受けきれないので禁止。
長連(ちょうれん)
6つ以上つなげること。黒がこれを作ると反則負けになります。
大事なのは、これらが課されるのは黒だけという点です。白には禁じ手が一切ありません。白は三三も四四も自由に打てますし、白が6つ以上並べた場合は五連とみなして勝ちになります。「後手のほうがルール上は自由」と覚えておくと、白番のときの発想が変わります。
禁じ手は「打っても、打たされても負け」。つまり相手にうまく誘導されて禁手の場所しか打てなくなったら、その時点で負けです。なお連珠の厳密な規定では、黒が禁手を打っても白が気づかずに次の手を打ってしまうと禁手が解除され、対局が続行されます(長連は除く)。
もうひとつ、覚えておくと得をするルール。
五連が完成する手であれば、同時に三三や四四、長連ができていても黒の勝ちです。五連の成立が優先されます。
ただし、ここで挙げた禁じ手はあくまで連珠のルール。当サイトの対戦五目ならべを含め、一般的なウェブ版の多くは禁じ手なしの「自由五目」を採用しています。まずは自由ルールで感覚をつかみ、物足りなくなったら連珠ルールに切り替える、という順番がおすすめです。
勝つためのテクニック
1. 序盤は中央に打つ
盤の端に打った石は、伸ばせる方向が半分以下に減ります。中央付近なら縦・横・斜め2本の合計4方向にフルに展開できる。序盤の数手は、理由がないかぎり中央寄りに置いてください。これだけで初心者同士の勝率はかなり動きます。
2. 「四三」を作る五目ならべの本丸
このゲームの必勝形は、突き詰めると四三の一点に集約されます。1手で「四」と「三」を同時に作る形のことです。
相手は四を止めなければ次に負けるので、必ず四のほうを受けます。すると三が生き残り、こちらは三を四に伸ばせる。相手はまた受ける。そして受け切れなくなる、という寸法です。日本連珠社も四三を「連珠の基本的な勝ち方で、とくに黒にとっては唯一の勝ち方」と定義しています。三三と四四を禁じられた黒にとっては、文字どおり四三しか勝つ道がありません。
上達のコツは、完成形の四三を頭に思い描いてから逆算すること。「ここに置けば縦の四と斜めの三が同時にできる」という交点をあらかじめ見つけ、そこへ向かって石を配置していきます。
3. 三を連打して相手を受けに回す
四三は、いきなり作れるものではありません。連珠の初級講座で紹介されている基本の攻め方は、三を次々に引いて相手を受けに回らせ、その過程で自分の石を四三の形に育てるというものです。
相手が三を止めている間、相手は自分の攻めを進められません。主導権を握ったまま石を増やせるわけです。ただし、ここに落とし穴があります。同じ方向にばかり三を引くと、相手の止めた石が邪魔になって形が伸びなくなる。三を引くときは「止められたあとの自分の形」まで考えるのが、初級と中級の分かれ目です。
4. 二方向の脅威を同時に作る
四三に限らず、勝ち筋の本質は「相手が1手では受けきれない脅威を2つ同時に作ること」です。縦と斜め、横と斜めなど、異なる方向の並びが1つの交点で交差するように石を配置しておく。その交点に打った瞬間、相手は片方しか防げません。
このとき、狙いを早々に見せないのがコツです。片方をあえて飛び三の形で用意しておくと、相手は気づきにくくなります。本命とは別に囮の並びを作って注意をそらすのも有効な手です。
5. 相手の三は即座に止める、四は最優先
攻めの話ばかりしましたが、守りの原則は2つだけ。両端が空いた三を見たら、その場で止める。四を見たら、何を差し置いても止める。 四を1手放置したら負けが確定します。
そして繰り返しになりますが、飛び三・飛び四を見落とさないこと。盤面を見るときは「つながっている石」だけでなく「1マス空けて並んでいる石」も同じ目線で追う癖をつけてください。黒番の場合は、うっかり自分で飛び三を2本作って三三禁に引っかかるという自滅もあり得ます。
6. 「桂馬の網」で相手の攻めを封じる
守りの手筋として覚える価値が高いのが桂馬の網です。将棋の桂馬が跳ねる位置関係(1つ横、2つ縦)に自分の石を並べて相手を包囲する形で、この網の内側では相手は五連を作れません。
「そんな都合のいい形、簡単には作れないのでは」と思うかもしれませんが、実戦ではわりと頻繁に成立します。たとえば黒3手目までの「雨月(うげつ)」という形に対して、白が桂馬バサミと呼ばれる手を打つのが出発点。ここから網を広げていくと、黒が単純に攻めるほど囲まれていきます。厳密な理論上は白が不利とされる局面でも、級位者同士なら白がかなり勝ちやすい。そういう実戦的な手筋です。
7. 白番(後手)は禁じ手がないことを使い倒す
後手は不利。それは事実ですが、初心者同士の対局ではそこまで悲観する必要はありません。相手が定石を暗記していなければ差は出ないからです。
むしろ白には三三も四四も長連も許されているという特権があります。守りながら三三の形を狙う、という攻め方ができるのは白だけ。ひたすら受けに回るのではなく、受けながら自分の並びも伸ばす「攻防一体の手」を探してください。ちなみに中級者以上の世界では、白が定石通りの黒に勝つのは相当に難しく、引き分け(満局)に持ち込むのが現実的な目標とされています。
五目ならべの蘊蓄 ── 知っているとちょっと自慢できる話
「五目」の目は、碁石を数える単位
名前の由来は素直です。「五」+碁石を数える助数詞の「目」+「並べ」。英語ではそのまま Gomoku、あるいは Five in a Row と呼ばれます。
各国での呼び名も面白いところで、中国では五子棋(ウーズーチー)、韓国では오목(オモク)。韓国語の오목は日本語の「五目」と構成も語源も同じです。そして19世紀にイギリスへ伝わった際には Go Bang(ゴーバン) と呼ばれました。これは日本語の「碁盤(goban)」が訛ったものとされています。
起源は江戸中期。中国起源説には根拠がなかった
史料に現れるのは1700年代中頃。二条家に出入りしていた商人、十代目桑名屋武右衛門がこの技に長けており、そこから民間に広まったとされています。日本連珠社は、平安時代の絵巻物に女官同士が盤の中央に白石黒石を置いて遊ぶ様子が描かれている、という説も紹介しています(あくまで一説です)。
かつては「囲碁が中国由来なのだから五目並べも中国起源だろう」という説が唱えられましたが、調査の結果、根拠となる資料は存在しないことが判明しています。発想からの推定にすぎなかったわけですね。
1856年(安政3年)には『五石定磧集』が刊行され、流派ごとに五石、格五、五法、五聯、京碁など、さまざまな名前で遊ばれるようになりました。
「連珠」と命名したのは、あの黒岩涙香
1899年(明治32年)、新聞『萬朝報』の主幹だった黒岩涙香が、紙上に五目並べの先手必勝法を掲載します。同年12月6日、彼はこのゲームを「聯珠」と呼ぼうと提案しました。この日が連珠の発祥日とされています。
黒岩涙香といえば『巌窟王』『ああ無情』の翻案で知られるジャーナリスト・作家ですが、実は連珠の初代永世名人「高山互楽」その人でもあります。高山互楽は彼の号です。なお「聯」が常用漢字から外れたため、戦後は「連珠」表記が定着しました。
1993年、コンピュータが「黒必勝」を証明した
長らく「黒が勝つはずだ」と信じられてきた五目ならべですが、証明されたのは1993年のこと。Victor Allis、H. J. van den Herik、M. P. H. Huntjens の3氏が、AAAIのワークショップで発表した論文 “Go-Moku Solved by New Search Techniques” によって決着がつきました。
内容がまた鮮やかです。彼らが用いたのはthreat space search(脅威空間探索) という新手法で、攻め手の連続に対して守り側にあらゆる応手を許すことで探索の分岐を激減させるというもの。結果、最善の防御に対して黒は18手(35手番)で勝てることが示されました。解を証明する木のサイズは138,790局面。「6つ以上並んでも勝ちにならない」変種でも黒必勝で、こちらは153,284ノードでした。
彼らのプログラム「Victoria」は1992年のコンピュータオリンピアードで、黒番は全勝、白番でも半分を勝って金メダルを獲得。そして解かれてしまったため、五目並べは競技種目から引退することになりました。ちなみにAllis氏はこれが3つめの「解決」で、1989年にConnect Four(重力付き四目並べ)、1991年にQubicを解いています。
珠型の名前は、すべて「月」か「星」
連珠では、最初の3手(黒→白→黒)でできる形を珠型(しゅけい) と呼びます。対称形を除いて26通りあり、そのすべてに名前が付いています。
命名の発想が風流で、白石を月に、黒石を木や山などに見立てて名付けられました。「月、山巓に在り。故に山月と謂ふ」といった具合です。寒星、雨月、花月、浦月、恒星 ── 眺めているだけで楽しい命名ですね。白の2手目が黒の真上に並ぶ「直接打ち」と、斜めに置く「間接打ち」で分類されます。
縁日の「大道五目」は、ルールが微妙に違った
かつて縁日や盛り場で盛んに行われていたのが大道五目(大道連珠)。詰め連珠の問題を出題し、解けたら景品、解けなければ料金をいただくという商売です。
ここには罠がありました。現在の国際ルールでは、五連が完成する手なら同時に三三や四四ができても黒の勝ちになります。ところが大道五目では五三三、五四四、五六が禁手だったのです。この微妙な差のせいで、一見すると勝ち筋が山ほどあるように見えても、そのほとんどが禁じ手になってしまう。連珠の有段者ですら間違える難問が多かったといいます。
足付き盤の裏のくぼみ「血溜まり」
足付きの連珠盤・碁盤・将棋盤の裏側中央には、くぼみがあります。これは血溜まりと呼ばれ、「対局中に横から口を出した者は首を刎ねられ、このくぼみに乗せられる」という物騒な言い伝えが付いています。もちろん実際は、打ったときの音の響きを良くするため、あるいは盤にひびが入るのを防ぐため、といった実用的な理由とされています。厚さ2寸程度の薄い盤にはくぼみがありません。
世界では今も熱戦が続いている、2025年、日本勢28年ぶりの世界一
連珠国際連盟(RIF)は1988年に発足し、1989年から世界選手権が始まりました。奇数年に個人戦、偶数年にチーム戦という開催サイクルです。
そして2025年8月、チェコのブルノで第18回連珠世界選手権が開かれました。16カ国から85名が参加した大会の決勝リーグを制したのは、日本の中山智晴九段。日本人の優勝は1997年サンクトペテルブルク大会の長谷川一人九段以来、13大会28年ぶりという快挙でした。神谷俊介名人も3位に入賞しています。女流世界一決定リーグでは中国の汪清清が連覇を達成し、日本の藤田麻衣子六段は4位でした。
このときの開局規定は「五珠交替打ち(タラグチ10)」。ロシアが提案した方式です。黒が有利になりすぎないよう序盤の打ち方を制限する規定は複数あり、ほかにエストニア提案の「四珠交替打ち(ソーソロフルール)」、日本提案の「珠型五珠題数提示選択打ち」などが併用されています。ルールが今も更新され続けているゲームというのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。
なお、禁じ手のない自由五目(Gomoku)の世界選手権は、1989年と1991年にPro開局ルールで開催されました。このときの黒の勝率はおよそ67%。バランスが悪すぎるとして、2009年の再開以降はSwap2という開局方式が採用され、先手勝率は約52%まで改善されています。Swap2では、最初のプレイヤーが黒2つ・白1つの計3石を置き、相手が「白を持つ」「黒に交代する」「さらに2石置いて色の選択権を返す」の3択から選ぶ、という凝った手順を踏みます。
ファミコン第4作目の盤上ゲーム、そして『アソビ大全』へ
デジタルの世界でも五目ならべは古株です。任天堂は1983年8月27日にファミコン用ソフト『五目ならべ 連珠』を発売しました。パッケージでは「五目ならべ」が太いゴシック体、「連珠」は細い明朝体で別枠という扱いですが、中身は珠型がランダムで決まる本格的な連珠です。3手目までが自動で置かれるため、最初に自由に打てるのは実質的に白のほう、という面白い仕様でした。
このソフトはWii、Wii Uのバーチャルコンソールを経て、2024年7月4日から「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」でも配信されています。また、Nintendo Switchの『世界のアソビ大全51』にも「五目ならべ」が収録されています。
親戚ゲームいろいろ
五目ならべは世界各地で独自の進化を遂げました。ベトナムで人気のCaro(カロ/五目並べ+) は、五連の両端が塞がれていると勝ちにならないという厳しいルール。韓国のOmok は19路盤で三三禁のみを適用します。相手の2石を挟むと取れるNinuki-Renju やPente といった捕獲ルール入りの変種もあります。
理論の世界では、m×nの盤にk個並べたら勝ちというm,n,k-ゲームとして一般化されており、15路盤の五目ならべは「15,15,5-ゲーム」。ちなみに重力付き四目並べ(Connect Four)は、駒の置ける位置が各列の最下段に限られた(7,6,4)ゲームということになります。
まとめ
五目ならべは、ルールの単純さと戦略の奥深さの落差が桁外れに大きいゲームです。四三という勝ち形をひとつ覚えるだけで、昨日までと盤面の見え方が変わります。飛び三を見落とさなくなるだけで、負け方が減ります。
まずは1局。中央に打って、相手の三を止めながら、自分の四三を探してみてください。

